「那奈、ちょっと来て」
教室に入って鞄を置くとすぐに、未知に廊下に連れ出された。
「どうすることにしたの?」
何の話かはすぐに分かった。
「準備はしたよ。でも・・・」
「でも?」
「タイミングが分からなくて」
誘い出すにも、周りに何か勘繰られるのも嫌だし。
「そっか。いつも一緒に帰ってる訳じゃないもんね」
「・・・あ」
未知の言葉でピンときた。
「テスト期間だから、帰りに待ってれば会えるかも。あ、でも・・・」
「他に人がいたら言い出しにくいよね」
未知も一緒に悩んでくれている。
いい友達を持ったなあ。
「あ、髙橋」
「ちょっと井上!今女子会中!」
私の背後から私を呼んだ湊に、未知が珍しく怒ってる。
「おー怖。いいよ他のやつに頼むから。太一、英語の教科書貸して」
湊が私たちから注意をそらしたのを確認して、また道が口を開く。


