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「ねー、那奈」
楓先輩と奈央子先輩が帰るのを見計らって、未知が音楽室に入ってきた。
「ん?」
「昼休みはあんな感じになったけど、ほんとに渡さないの?」
「え?」
唐突な切り口に、私は今日の昼休みのことを思い出そうと頭をフル回転させる。
「ほら、山本くんにチョコ」
「何で?」
「だって、那奈と山本くん、最近いい感じに見えたから」
泉と違って冷静な未知の言葉は、落ち着いたトーンで私の中に入ってくる。
確かに、私と山本くんは仲がいい。
それは認めるけど・・・。
「チョコを渡すような関係じゃないよ」
私はヘラッと笑った。
すると、未知は何故か少し悲しそうに眉を下げた。
「友チョコも?井上には渡すんでしょ?」
「うん、井上くんには渡すけど・・・」
「じゃあ、同じ友達の山本にも渡したらいいと思う」


