教室に戻って来て、俺は自分の席につき、

窓の外を眺める。

俺の席は外が見える窓側の1番後ろで、

ドラマで言う“青春席”だ。

面白くもない授業が始まる。

先生「はい、授業始めるぞー。」

生徒1「きりぃーつ、れーい、
おねがいしまぁーす。」

気の抜けたような挨拶を終え、

ぱらぱらと席についていく。

周りを見渡せば、もう机に突っ伏している奴も

ちらほら居るようだ。

なんてったって、お昼ご飯を食べた後で、

みんなの眠気はMAX値を超えている頃だ。

先生「…であるから、こうなる!
じゃあここの問題を〜…西本、
答えてみろ。」

『え、俺?』

今日は運が悪かったようだ。

ふと横を見てみれば、

剛がニヤニヤとこちらを見ている。

伝えるのを忘れていたが、

剛と俺は4組で、

紘子と明美が2組だ。

『はぁ、えーと、先生どこの問題?』

先生「お前はまた…話くらい聞け…。
P24の問題だ。」

剛「先生、コイツに話を聞かそうったって
無駄なお願いだぜ?
俺らの話も聞かねぇもん。なぁ?w」

ここで教室中に笑いが起きる。

『お前なぁ、俺で笑いとってんじゃねぇ。』

先生「はいはい、仲良いの分かったから。
西本、P24の問題解けるか?」

問題に目を通す。

ははーん、この問題…

『x=4,y=8だろ?』

先生「お、やるじゃないか西本!
頭だけは良いんだなぁ!」

また教室に笑いの渦が起こる。

『先生まで俺で笑い取るなよ…。
そんで一言余計だわ!w』

少し教室がザワザワし始めていた。

剛「お前やるじゃん。
俺でも分かんなかったぜ?w」

『黙れ、万年赤点のクソゴリラが。』

剛「はぁ!?言いすぎだろ!!!」

先生「おいお前らうるさいぞー!
怒られるの俺なんだからな?」

『ごめんごめんw』

先生「はぁ…よし、続きいくぞー。
で、こっからはこの応用で…」

横から小さい声がした。

剛「なぁ、おい。」

『なんだよ剛、今授業中だぞ?』

剛「さっきまで騒いでた奴が何言ってんだw」

『それもそうだなw で、どうしたんだ?』

剛「時間取っちまって悪りぃけど、
放課後ちょっと2人で話さないか?」

珍しい。珍しい事を言っている。

コイツが真剣な顔をしているときは

相談事のときが多い。

『よし、任せろ。
放課後屋上な。』

剛「おう、助かる。」

このとき俺は、

妙な感覚を覚えていた。

今思えばこのときから、

全て崩れていたのかもしれない。