「……!…みー!おい、拓海!」

『!?わりぃ、ぼーっとしてたわ』

「ったくお前って奴は仕方ねぇな…。」

こういう絡みが結構好きなくせに、

こいつ、南野 剛-ミナミノ ツヨシ-は

いつもだるそうな態度をしている。

「あんたも懲りないねぇ?
いつもいつも剛に怒られてんのにさ!」

そう言ったのは4人組で最も正義感、

いや、オカン味のある、

北嶋 紘子-キタジマ ヒロコ-だ。

「紘子も剛もやめときなよ〜
拓海はお子ちゃまだからさっ!」

『おいおい、どの口が言ってんだよ…』

「はぁー?私はいたって普通よ!」

『あー、はいはい、そうでした』

「キィィィ!ムカつくなコノヤロ!」

こうして憎まれ口を叩いてくるこの女は

東山 明美-ヒガシヤマ アケミ-だ。

そしてさっき名前は出たが、俺は

西本 拓海-ニシモト タクミ-という。

俺たち4人はこうして、

いつも屋上でダラダラとお昼を食べ、

他愛もない話を続けていた。

これも今年で3年目だ。

剛「しっかし、月日が経つのは
早えなぁ…。参っちまうよ、本当に。」

紘子「ずっと友達で居ようって約束したのが
昨日のことのようだよ。」

明美「長く続くもんだね、友達って。」

『なんやかんやで喧嘩もした事ねぇなw』

ここでみんなが笑う。

そう、俺たちは、

ずっと友達で居ようと約束してから

一度も喧嘩をした事が無いのだ。

紘子「仲が良いのか、干渉してないだけなのか、分からないとこはあるけどねぇ…。」

明美「まぁ、良いじゃん?
私は嬉しいよ、みんな大好きだし!」

紘子「そりゃぁ私も嬉しいよ!?
やめてよ、私が嬉しくないみたいじゃん!」

剛「いーや、今のは紘子が悪いだろ。」

紘子「悪くないわよ!
思ったこと言っただけじゃん!」

剛「それがダメなんだよw
なぁ?拓海!」

『ん?あぁ、そうだな。』

剛「おま、また話聞いて無かったろ。」

『そーーーんな訳じゃねぇよ?w』

剛「ダメだこりゃ、救いようねぇわ。」

ププっと、静かに笑った明美。

それとは正反対に口を大きく開け、

まるでガキ大将のように笑う紘子。

『はぁ、こういうとこで違いが出るんだな。』

紘子「?なんか言った?拓海。」

『いーや、なんも!
つか、そろそろ行かねぇと!』

明美「あ!本当じゃん!
私サボれないんだよー!!!」

剛「よく言うよ、1番サボってたくせに。」

明美「何を言う!私は真面目よ!」

紘子「はいはい、分かったから行くよ!」

明美「はぁい…。」

スタスタスタスタ…

剛「おい拓海、俺らも行くぞ。」

『あぁ、そうだな。』