その翌日の夜から、私は高城さんと電話でいろいろなことを話す仲になった。

仕事の愚痴だとか今日の昼ご飯が美味しかったとかたまたま見たテレビ番組がおもしろかったとか、そんな当たり障りのない内容だけれど、高城さんは楽しそうに私の話を聞いてくれた。

そんな仲になって1週間が経った日のことである。

「琴美さんの声は毎日聞いても飽きないな」

いつものように話を終えると、高城さんはそんなことを言った。

「飽きないって…」

これと言った特徴は特にない普通の声のはずだ。

「仕事終わりに琴美さんの声を聞くと明日もまた頑張ろうと思えるし、今日の仕事でミスをして上官に怒られたことも忘れてしまう」

「高城さんもミスをすることがあるんですか?」

彼の口から聞かされたその一面に、私は聞いた。