「織田琴美さんか、いい名前だな」

「ありがとうございます」

高城さんはジーンズのポケットからスマートフォンを取り出すと、
「連絡先を交換しようか?」
と、言った。

「はい」

私もカバンからスマートフォンを取り出すと、お互いの連絡先を交換した。

「勤務中は携帯電話の所持は禁止されてるから連絡はできないが…そうだな、遅くても20時までには電話をするようにしよう」

そう言った高城さんに、
「あの…無理ならば無理だと、言ってくれてもいいですからね?

仕事終わりで疲れているのに申し訳ないので」

私は言い返した。

「いや、君の信用を勝ち取るためならば俺は何だってするよ」

「でも無理をしないでくださいね」

私は彼の目を見て、そう言うことしかできなかった。