「俺は同じクラスで、あんまり話したことがなかったな」
「え?」
「いつもぼーと空を向いてて、先生に叱られていたじゃないか」
着いたぞ、と診療所がもう目の前にあった。桜の木の下まで車いすを押してもらった。
私は彼に押されたまま、頭にははてなマークが飛び交っていた。
庭にそのまま車いすをとめると、回り込んで膝まづいた。
「クラスメイトだった。ちょっと雰囲気が変わった子だなと思っていた。テレビの話題とかは通じなかったけど、図書室にある本とかならわかるんだって思って話したりしたんだよ。よく桜の絵を描いていただろ。すごく上手で、褒めたら笑顔がかわいかった。初恋」
初恋。
「中学の時、もう全然学校に通わなくなっていたのを間近で見ていた。一回だけ見かけたときは、おっさんに肩抱かれてた。だから、俺の初恋が汚れたような気がした。だけど、小学生の時両親の話で素敵なエピソードを書かせる授業があって困って泣いてた時があっただろ?だから、事情はあったかもしれないって思った。想像よりだいぶ酷かった、自己嫌悪した。想像力が足りてないって。」
「え?」
「いつもぼーと空を向いてて、先生に叱られていたじゃないか」
着いたぞ、と診療所がもう目の前にあった。桜の木の下まで車いすを押してもらった。
私は彼に押されたまま、頭にははてなマークが飛び交っていた。
庭にそのまま車いすをとめると、回り込んで膝まづいた。
「クラスメイトだった。ちょっと雰囲気が変わった子だなと思っていた。テレビの話題とかは通じなかったけど、図書室にある本とかならわかるんだって思って話したりしたんだよ。よく桜の絵を描いていただろ。すごく上手で、褒めたら笑顔がかわいかった。初恋」
初恋。
「中学の時、もう全然学校に通わなくなっていたのを間近で見ていた。一回だけ見かけたときは、おっさんに肩抱かれてた。だから、俺の初恋が汚れたような気がした。だけど、小学生の時両親の話で素敵なエピソードを書かせる授業があって困って泣いてた時があっただろ?だから、事情はあったかもしれないって思った。想像よりだいぶ酷かった、自己嫌悪した。想像力が足りてないって。」

