敵は全滅した。
 
 私はものの数分で戦闘を終えた。

 目の前には地獄が広がっている。
 
 直人は行ってしまった。

 こんな化け物、二度と迎えに来てはくれないだろう。
 
 直人がいないなら生きる意味がない。
 愛されなくてもいい、そばにいることができればそれでいいと思っていたが、もうそれもできない。


 私は死体に近づいて、ごめんなさい、と呟いた。
 その死体は顔がわからないほどに潰れていた。その死体の服から、何か光るものが滑り落ちた。

…ロケット?

 きっと家族の写真を入れて、お守りにしていたのだろう。
 ロケットを開くと、目を疑うものが入っていた。

 ロケットに入っていたのは、あたしの写真だった。
 この死体はあたしの父親だったのだ。

「お父さんごめんなさい…」
 涙が出た。もう嫌だ。辛すぎる。
 お父さんの持っていた拳銃を頭にあて、引き金を引こうとした。