私は直人の組織で働き始めた。

 組織の敵であるテロリストは、国内の集団らしい。
 
 今の大臣に、邪魔な人間を極秘で殺しているやつがいるらしい。
 大臣が操る人殺し組織から抜けた者が、正義感から情報を漏らした。
 
 だが、情報を漏らした者が、殺人は大臣ではなく国の仕業だと勘違いした者だったせいで、事態はややこしくなった。
 
 国に大事な人を殺されたと勘違いしている人達。それが直人の敵。

 国は大臣のせいで何度もテロに遭うのだが、国は大臣が原因だということに気づかないから、わけもわからず攻撃を受ける。
 その状況を打破するため、極秘に国に雇われた組織が直人の組織なのだ。

 直人の話には「極秘」という言葉が何回出たかわからない。正直、想像以上に汚れた世界の話にうんざりした。

 長い説明が終わると、直人は私の着物を手渡し、これからについて話した。着物に着いた血痕はきれいに消えている。

「これを着て、君には、君の能力を操れるように訓練して欲しい。」
 そう言って直人は私を、テロで壊滅して、今は閉鎖された街に連れて行った。車は西藤が運転していた。

「ここなら実際の戦闘と変わりないからね。」
「わかった。がんばる。」
 笑おうと努力したが、顔が引きつっただけになってしまった。
 ずいぶん一人でいたから、まだ上手く笑えない。

「じゃぁそこで見てるから。」
「うん。」
 …といっても何をすればいいのかわからない。