かいとは、ハルナのことが気になっていた。

ハルナは、サラッとした長い黒髪にスラリとした長い手足は、まるでモデルのようで
すれ違った男はみんな振り返るほどの美少女だった。


街ですれ違うだけの、女子高生ハルナに
かいとはいつか、自分に振り向いてくれるんじゃないだろうかと期待していた。

その為にずっと、ハルナが通る路上で

バンドマンをしていたのだ。

ほかの女の子たちは

かいとの美貌に惚れ込んだが、


ハルナは一度もかいとに
見向きもしない。


ハルナには彼氏がいるのかもしれない。


こんなに街のアイドル的存在になっている
俺を眼中にもないなんて、



ハルナはどうかしている、


こいつは欠陥かもしれない

そんなことも思ってきてしまっていた、


ハルナのことを想って書いた楽曲は

5曲くらいある。


全部聴いてほしい。


本当は、ハルナのために作った曲なのに、



まわりのファンは自分のことだと

勘違いして聴いている。

それで俺にハマってくれるなら

それはそれでいい。




今日も路上でハルナのために


歌う。


ハルナが通るまで

ずっと歌い続ける、




もう夜になってきても。


ハルナがくるまで


粘るのがいつもの日課になっている。