新・Sなお前とヤケクソな俺






先輩に手を引かれ廊下を歩く

すれ違う生徒達に凄く見られたけど、先輩はお構いなしに俺の手をぎゅっと握っていたんだ

『あの、尾澤会長は?』

「ああ、今頃血眼になって俺を捜し回ってるんじゃない?」

と言う事はあの後会長を振り切って俺の所へ来てくれたんだな……
でも先輩も鞄持ってるし1度教室には戻ったのか


『先輩、来てくれてありがとう。実はめっちゃホッとしてる』

「ん?」

俺は先輩の手を握り返した

『恥ずかしい所見られちゃった……俺マジ弱いからスゲー情けないよ』

「そんな事ない、情けなくなんかない。さっきの奴の方が情けない奴だ……大丈夫?傷、まだ痛む?」

『ん、大丈夫』

「良かった」







『……実は何となく先輩が来てくれるような気はしてたんだ』

自惚れだったら俺ってかなり痛い奴
だけどやっぱり先輩は来てくれたんだ。それが本当に嬉しくて


「大正解だね」

『俺、先輩に助けられてばっかだな。なぁ、さっきあいつに何言ったの?めっちゃびびってたように見えたんだけど』

「内緒」

『えー』

「憂は気にしなくてもいいよ」

『や、めっちゃ気になるし。せめて俺も口で喧嘩に勝てるようになりたいな……頭の回転遅いから無理か。途中で何言ってるかわかんなくなるもん
はぁ、俺も強くなりたい。空いてる時間にジムに通って体でも鍛えようかな』

「ダメ!!絶対ダメ!憂はそのままがいい!」

『な、何で?』

「鍛えたら抱き心地が悪くな……ん、何でもない」

んん??




ここで気付いたんだけど俺と先輩普通に手繋いで歩いちゃってるし……やば、意識するとめっちゃ恥ずかしくなって来た

『先輩、そろそろ……』

「何?」

『えっと、手ぇ離してもらってもいいかな?』

「何で!?」

や、何でって言われても……


下駄箱に到着したらへんで俺は重大な事を思い出した


『あっ!!!』

「な、何!?」

『バイト!!』

俺は咄嗟に先輩の手を振り払い、大慌てで靴を履き替えた

『先輩ごめん!!ヤバい遅刻する!!助けてくれて本当にありがとう!また連絡するねっ』

「あ、ああ、うん」

呆気に取られる先輩を残し、俺はそのまま猛ダッシュで走った









「……ふ、ふふふっ」

口を押さえ思わず1人で笑ってしまった

そこに息を切らせた尾澤が下駄箱にやって来た

「やっと見つけた。……憂君は?」

「んー?慌てて走って行っちゃったよ」

「そうですか。先程憂君の教室に行ったのですが、朔夜何かしましたか?」

「どうして?」

「怯えた様子のいじめっ子君が居たので」

「俺は何もしてないよ。ちょっとひと言言っただけで手は出してないし」

「それならいいですが」


「ねえ尾澤、憂は本当に猫みたいな子だよ」

少し懐いて来たかなって思ったら急に離れて行っちゃうし……
危ない目に遭ってたくせにまるでそんな事なかったかのように他の事に走って行っちゃうし……
はぁー本当飽きない可愛い


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