わーいドライブだーいい風だなー早いなー
……じゃなくて
助手席に乗って次々通り過ぎる景色を眺めていた
先輩のマイカー……何て車種かはわからないけどきっと高い車なんだと思う
先輩ってマジ何者なんだ
俺、チャリですらまだ持ってねーのに
しかも先輩は運転まで上手だと思う。こんな完璧な人種が俺の隣に居るなんて……
くぅぅ、何か悔しいから今度マイチャリを買おう
「さて到着〜降りて」
『うん』
先輩に連れて来られた場所は数駅先の大型店
この店だけで全てが揃うだろう
「やっぱ土曜日だから人が多いねー」
確かにどの店舗を見ても人だらけだった
休みの日だからかファミリーが多いような気がする
ってかこんなとこ来るの久しぶりかも
「せっかくだから服でも見に行く?」
『や、服はいいや』
センス抜群の先輩がいる前で衣類なんか緊張して見れない
どうせ見るなら本屋とかゲームとかその辺がいい
そっちの方が個人的にテンションが上がる
でも用があるのはキッチン用品だ
安くて軽いフライパンだったら何でもいいんだけどなー
『先輩?え、こっちじゃ……』
急に先輩が方向転換してどこかに行き始めた
「はい、真っ直ぐ立って!」
『や、俺今日服買わないって……』
「いいから!」
何着か俺に服をあてて考え事をしている先輩
通常服屋の店員は客がいればすぐ接客しに寄ってくるのだが、先輩を一目見ると気圧されるのか誰も声を掛けてこようとしない
「うーん……似合うと思ったんだけど、憂は背が低いし足も短いし童顔だから何か違うなぁ」
『ひ、酷い!!』
「えーっと、あっこれはどうかな?うん!これはいい感じ。よしこれにしよう」
先輩は値段も見ずにそう言ってスタスタと会計に向かって行ってしまった
『ちょっ!俺が出すから!』
俺の言葉を無視し、先輩は会計を済ませてしまった
「えーっと、キッチン用品はどこかなー?」
『あの……お金……』
「そうそう思い出した!憂?俺の鞄にお金入れたでしょ!?」
『え?あ、うん』
「お金は大事にしなさい!袋とかにも入れずそのまま入れちゃダメだよ」
えっ?そこ?
『えっとごめんなさい。でも先輩俺に金使い過ぎだから!』
「現金をそのまま人に渡すのはよくないよ〜うん、お金の貸し借りはしちゃダメ!」
『何言ってるのかよくわからないけど……だって先輩俺に金ひとっつも出させてくれないじゃんか!さっき買った服も先輩のじゃないだろ??』
「そうだっけ?まぁ気にしないでよ」
『気にするってば!……取り敢えず入れてた分は受け取ってよ』
「……仕方ないなぁ。わかったよ」
渋々承知してくれた
「憂、危ない」
『え?』
うだうだとよそ見しながら歩いてるとすれ違い様に誰かにぶつかりそうになった
「大丈夫?これだから人混みはヤだよね」
『ごめん。えっと……』
急に引き寄せられたせいで俺の体は先輩にぴったりくっついていた
「……まあ人混みも悪い気はしないね」
『うん?』
「何でもないよ」
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