「ありがとうございました。またどうぞいらしてください」

会計を済ませた関西からの団体客を、深々と頭を下げて見送る。

旅館の朝は慌ただしい。フロントがあるエントランスホールは、チェックアウトするお客様でいっぱいだった。しかしそれも小一時間ほどで潮が引くように静かになる。