なないろの輝きを探して

「あっ…!」

と焦った様に言い顔が少し青ざめていった。

「もしかして…ッ…もう発症…早いな…」

となにかを悟ったような顔で言った。
なにが発症…

そう聞こうとしたがその前にあの人が口を開いた。

「なにか普段と変わったことない?」

え?
「なにもないと…」

普段と違うのはユキを連れてることくらいだ。

「見える色とか、何も変わってない?」

見える色…

「特に変わってない気がしますけど…」

「そっか、なら良かった」

「明日もここ、来れる?」

毎日散歩してるから行ける。
あれ?
木ってこんな感じの色だったっけ?

まあいいや。

「行けると思います」

「おっけー、じゃあそろそろ帰るね」

「あ、あの…名前は…」

とっさに出てしまった。
名前は聞いておかないといけない気がした。

天羽 薫(あもう かおる)

「好きなように呼んで」

それじゃ、と言い帰っていった。