【いつか夢見た優しくて、誰にも好かれる主人公なら、汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?】

【そんな夢なら捨てたよ、だって現実を見ろよ?
シアワセの4文字なんてなかった
今までの人生で思い知ったじゃないか
自分は何も悪くねぇと誰もがきっと思ってる】

この歌詞がスッと頭に入ってきた。

私の人生には『シアワセ』なんてなかった。

お父さんもお母さんも悪くないって─

ッ…

これ以上はやめておこう。
嫌な記憶が今にもフラッシュバックしてしまう。

もう日は落ちたが外はまだ明るい。
何をして過ごそう。

…。
ユキ、かわいいな。

私は少し前からユキという蛇を飼っている。
体が雪のように白だったからユキ。

今日は散歩にユキも連れて行こう。
一緒に行ったら散歩がもっと楽しくなる、
そう思った。

ずっとユキを見ていたらもう暗くなっていた。

「ユキ、行こうか」

私にはすごい懐いていて手を出すとすり寄ってくる。

ユキを首に巻いて外に出る。
少し肌寒いがそれが心地良い。

近くの公園のベンチに腰掛けユキと遊ぶ。

「…かわいい」

ボソッっとつぶやく。

が、すぐにユキを首に戻す。
足音のようなものが聞こえる。

怖くなって逃げようとするが凍ったように全く体を動かせない。

「ん?誰かいる?」

中性的な若い人の声が聞こえた。

もちろん答えるわけもなくジッとしていた。

早くいなくなって…
そう思っても届くわけがなくずっと辺りをうろついている。

「あっ!いた!」

「ひっ…」

見つかった。
顔を出したのは声と似合っている中性的な見た目の人だった。