…朝か。
昨日に引き続きよく晴れている。

「あ、起きた?」

聞き慣れたあの人の声が聞こえる。
私の人生を変えようとしてくれる人。

私は頷いて返事をした。

「朝ごはん、あるからいつでも食べてね」

そう言われた私はあの人の方へ行く。

「今日はどう?」

今日は昨日と同じ景色。
昨日と同じ色。

「今日は昨日と変わってないです」

そう言うとあの人は嬉しそうに微笑んで言う。

「本当?よかった」

なんで人のことなのにそんなに嬉しそうにできるのだろう、
なんで人のために行動できるのだろう、
とまた思ってしまった。

そう思ったことがないから。

気になって聞いても、「んー、なんとなく?」としか帰ってこない。

だからもう聞くのはやめた。

いずれ私も
人のためになにかをしたい
って、思えるのかな。

そんなことを考えながら朝食を食べる。

おいしい。
あの人が作ってくれるご飯は毎回おいしい。
まずいご飯逆につくれないの?
って思うくらいおいしい。

「ごちそうさまでした」

小さな声で言い、支度を始める。
支度って言っても着替えるだけだけど。

あの人が食器を片付けてくれている。
よく見るともうあの人の準備は終わっていた。