「その赤いマフラー素敵だね」

「ありがとう。この前、服屋さんで見かけて買っちゃったの」

近くにあったレトロな雰囲気のカフェに入り、コーヒーを頼んで飲む。メニュー表に書かれたワッフルやマフィンなどに一瞬釣られてしまったけど、我慢したわ。だってこれから、リオンとずっと行きたかったレストランでディナーなんだから。

「そろそろ予約時間だね。行こうか」

「ええ」

しばらくカフェでお喋りをしていると、あっという間に時間は過ぎていく。リオンと一緒にいるといつもそう。些細なことでも楽しくなって、一時間が一瞬に感じちゃう。恋人ができるのは初めてではないけど、こんなにも時間が早く経ってしまうのは彼が初めて。

リオンが予約してくれたフレンチのレストランでウェイターに案内されたのは、綺麗な夜景が見渡せる一番いい席。そこに驚いていると、リオンがあたしの背後に回る。

「Happy Valentine!」