はっ、と目を覚ます。


耳元で五月蠅く鳴り響く、淡いピンク色の目覚まし時計を叩いて止め、


天蓋付きのベッドの上で、大きく伸びをした。


春の初日、少し肌寒いハズなのに身体が火照っているのが分かって、両手をそっと頬に沿わせる。


指先から伝わってくる、熱っぽい、あつい体温。


「リアルな夢だったな…」


誰も居ない広い部屋で、ぽつりと呟く。


(…あの人は、誰だったんだろう…)


夢のハズなのに、唇と顎にはまだ、あの日の感触が残ってる。