一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~

「めちゃくちゃかっこいいですね。おまけに、噂の店長じゃないですか。」
私は手帳にほかにもあれこれ書き込み始める。
今夜はかなり忙しい。
フェアがはじまる前日は深夜まで店舗内の準備におわれる。

一日の営業と片づけ作業が終わってから新しい商品を、店内の配置を変えたりディスプレイ方法を変えて翌日のオープンに間に合わせる。

「ニューヨーク、ロンドン、サンフランシスコ、海外の店舗で修業をして本店に戻ってきた若手のホープ。30歳、未婚の好物件らしいですよ?」
思わず花音の言葉に手をとめる私。
「どうしてそんな情報持ってるの?」
「支店にこの前出張した時に聞いたんです。支店は女性社員がたくさんいますからね。情報網もすごいですよ?」
「・・・仕事仕事。今日は忙しいよ」
「はーい。」
花音に言いながらも、”未婚”というワードがやけに響く。