そこには今日の夜、準備を始めるフェアのディスプレイに使用するポップや素材、新作の商品が入った段ボールが山積みになっている。

バックヤードは広い倉庫のようになっていて、その一角に休憩ブースと店舗社員のデスクがある。

私は自分のデスクに向かい、さっそくデスクの上にある手帳に予定を書きこんだ。

「椎名」
「はい」
名前を呼ばれて振り向くと、副店長が扉の前から私を呼んでいた。

振り向いた瞬間、私を呼んだ副店長よりもその隣に立っている長身の男性に視線を奪われる。

副店長もダンディな男性で50代には見えない若々しさで社員から人気がある。
その副店長よりも頭一つ分は背が高くスレンダーな男性。