目を開けると、真っ白な場所。
体を起して、床に足をつけた。


「歩ける、よね。」


ベットから腰を上げて、自らの足で立ち上がる。
固い床の感触が足の裏から伝わってきて、あれが夢だと分かる。

昨日はユウくんの所から帰ってすぐに寝てしまったんだ。


「ライ、」


夢の彼の名前。

ユウくんが教えてくれた、それ。
胸にぽっかり空いた隙間が、少し埋まった気がする。
ライ、そう呼ぶ私が容易に想像できた。
そうしたら彼は笑顔を返してくれたのだろう。
私の名前を呼びながら。

あれは本当に夢だったのだろうか。
夢だと一言で片づけてしまうには、あまりにリアルで。
シオンさんが言っていた、
「だんだんと、記憶は鮮明になっていくから。」
それとは違う気がする。

自分で思い出した訳ではないのだ。
ユウくんが、教えてくれたのだから。