「いらっしゃい」
「クライアントが近くで感謝」と可愛く言う。
琉羽の部屋に来るのは久しぶりで、雨哥も素直に嬉しい。
「どう?いいカンジ?」と雨哥の好きなジュースをテーブルに置く琉羽は何も変わらない。
雨哥の好きな琉羽だ。
「もうすぐお届けできそう。気に入ってくれて良かった」と雨哥はジュースを飲む。
そこからの時間はいつもの2人の時間が流れて行く。
楽しくて大切で…。
愛おしい時間。
変わらない大事な時間。

「ごめんね」
琉羽の寝顔に言う。
雨哥が手を伸ばす。
琉羽のパソコンデスクの上のファイル。
・・・。
あった。
あの日のあの時間の同じスクリーン番号。
横の番号の席。
琉羽と苺美はあの日、一緒に映画を楽しんだのだ。
その半券をスマホの中に保存する。
2枚の証拠の完成だ。
1つの出来事の完成。
何でこんな事…。
琉羽…嫌だよ…。