★苺美の理由★
高校に入学をして数週間後…。
この日がきっと…全ての「壊(こわれ)」に繋がる。

苺美から【鎮痛剤 持ってる?なかったら買って来て欲しい。今日、休む】と短い連絡が入った。
雨哥は前に歯医者で処方されて持っていた鎮痛剤を有るだけ持ち出し、その日の下校後、苺美の自宅へ向かった。
そこは5階建てのマンションで、苺美は最上階の【511】に住んでいた。
【511】のインターフォンを押す。

少し待つと、カチッと音がして、ドアが開いた。
何も言わず、少しだけ開くドアの向こうに苺美は立っていた。
ドアに寄り掛かるように立っている。