ー苺美の深心ー
あの日だよ…。お母さんと離れたあの日から、私に残されたのは雨哥だけだった。
側にいてくれた、いても良いよと笑ってくれたのは雨哥だった。
あの日、お母さんは分かってくれなかった。
お母さんと同じになりたかった私の事。
だからお母さんは私を離そうと、私から和人さんを守ろうと、私の事を…。
分かってくれなかった。
痛くて動けなくて雨哥に助けを求めた。
そしたら、すぐ、その日のうちに助けに来てくれた。
連れ出して、お母さんから離した。会えなくなった。会ってくれなくなった。
でも、その代わりに雨哥がいてくれた。
だから、雨哥に気持ちを動かした。
お母さんから離したのは、雨哥だから、雨哥を愛したのに。
どうしてその雨哥は分かってくれないんだろう。
前までどこかでは線を引いていたけれど、今はもう分からなくなった。
お母さんに会えなくしたくせに、何で私を嫌いって言うの?
私の気持ちを受けないのに、どうしてお母さんと会えなくするの?
そっちこそ、放っといてくれたら良かったのに…。歪んで行く。