俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました

ちゃんと見ておいてよ! という憤りのあとに、いやいや、預けたのは自分だし、と思い直す。

なんでも器用にこなす音夜ではあるが、子育ては初心者なのだ。
一朝一夕で慣れるものではない。


夜尋は正座をしているみんなをみまわすと、自分も正座をして畳に手をついた。



「ようこしょ。しぇーりんてーへいらっしゃーました!」


いつも、女将がお客様を出迎えるときにやっている仕草だ。生まれた時からみているから、覚えていたのだろう。


「あらあらあら」

女将が喜んだ。


「おちゃーけをどじょ!」


ポケットからゼリーをだして座卓へ置いた。


「ぶっ…んんっ…ゴホン!」


音夜は思わず噴き出し、それを咳払いで誤魔化した。美夜はぎっと睨む。


「す、すみません。わたしの息子なんです。とんだご無礼を……」


慌てて頭を下げたが、ナオの母親はいいのよと言ってくれた。


「かわいいわねぇ。何歳?」

「三歳になったばかりです。ちょっと言葉が遅くて……」

「懐かしいわねぇ。男の子のほうが遅いって聞くけど、どうなのかしらね。ナオは口を開けばおしゃまだったから」

「ああ、三歳にしてどこで会話を覚えてきたのか、生意気で仕方がなかった」


懐かしそうにする母親に、父親も頷いて同意する。



部屋の雰囲気が変わり、緊張しっぱなしだったみんなの表情が緩んだ。


「おにーちゃ、おっきーねー?」

夜尋がトモを見あげて目を輝かせる。



確かに、音夜より大きい。


「あ? ああ……」

トモは突然現れた珍客に驚いたままだ。


「だっこ。たかいたかいしゅるの」


無邪気なお願いにぎょっとする。
音夜のたかいたかいを覚えてからか、どうも高いところを好んで困る。



「こら。お客様なの、そんな――――」

「めっなのー! しゅるのー!」

「あ、いいっすよ。べつに」


宥めていると、トモがおっかなびっくり夜尋を抱き上げた。