俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました

音夜が走り出して三分後には、夜尋を抱きしめる音夜がウォッチオーバーに映った。

綺麗にセットされた髪を振り乱し、必死の形相で駆けつけてくれた。


『大丈夫。もう大丈夫だよ。ごめんな。お仕事に行ってた。ずっと朝までいる。朝まで、ぎゅって抱きしめているから』


微かに届いた声に、目頭が熱くなった。
泣けてきたのはなんでだろう。
音夜の言葉に感動したのかな。


プロポーズの返事を保留にしていたくせに、父親として頼むとお願いするなんて、なんて自分勝手なのだと思う。そして彼は、なんて懐の大きな男なのだろう。

なんて格好いいパパなんだろう。
ああ、やっぱり好きだな。大好きだな。


「飽き部屋があるから、とりあえずそこで休もうか」


込み上げる熱い気持ちをぐっと堪えて、ナオに笑いかけた。


「あの人が旦那さんなの? ふたりでここで働いているんだ。いいな……」


ナオの声は沈んでいた。
それは、美夜と自分の境遇を比べたからではないか。



「それがね、実は会ったのは四年ぶり。彼が、自分が父親だと知ったのはつい10日前なの」

「え? どういうこと?」

「部屋に行って休もう。そこで話すよ」



首を傾げるナオに、仕事で大失敗をして、音夜に慰めて貰ったところから、語ることにした。