俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました

「ケバイ武装って、ひどい」

「いや、あれはセンスひどかったぞ。似合いもしない真っ赤なルージュに、今時あんなバサバサの着けまつげで仕事する奴なかなか珍しいだろ。キャバクラ勤めみたいななりしていたし」

「戦闘モードだったの! あれで気合を入れて……!」

「わかってるよ。ダサかったけど、同時に格好よかった。俺は、あれはあれで可愛いと思ってた」

「っ……」


片手を離すと、こんどは伸びっぱなしの黒髪を撫でる。


「でもやっぱり、今のほうが可愛い。すっぴんのほうが好み。黒髪ストレートもいいな」


からかう為にわざと言っているのかと思った。
以前の二人の関係ならば、そうだった。

冗談をと笑い飛ばせばいいのか。
どうしたらいいかわからなくて、とにかく熱くて仕方のない顔が早く冷めるように、落ち着け落ち着けと深呼吸した。


「俺は美夜が好きなんだ。だから夜尋のこともうれしいし、認知しないだなんてありえない。美夜が養育費だけをせびる女だとも思ってないよ」


美しいヘーゼルにじっと見つめられ眉をさげる。

でも自分は、音夜のようなすごい人に好かれるような人間じゃない。
4年前までのような自信も煌めきも、すでに無くしてしまっている。


何も知らなかった子供ではない。
仕事への情熱は失っていないが、無難にトラブルのないように円滑にというのが今の自分だ。
昔のように尖った働き方はできない。


それは、音夜が好きだと言ってくれた自分では無い気がした。