俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました

部屋の隅にある三段ラックには、母子手帳が立てかけてある。そこに、診察のたびにもらえるエコー写真を挟んでいた。

母子手帳を手に取り開くと、豆粒のような胎のうから、出産直前の輪郭までしっかりとわかる、夜尋の写真が出てくる。


たった四年前のことなのに懐かしい。


あのころはすべてが大変だった。
雇ってもらったのに、つわりでほとんど働けない状態が続いて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

働けない新人などお荷物だったろうに、女将さんや、花恵さんが通院に付き添ってくれたり、他の人たちも無理をするなと声をかけてくれた。

花恵さんにいたっては、自分も子供がいて大変だったろうに。
やっと働けるようになっても、お腹が大きくなれば仕事は限られ、産後もたくさん甘えさせてくれて、それは今でも継続中だ。

感謝しかない。

この旅館がなかったら、夜尋と二人、そこらで野たれ死んでいただろう。


休ませてもらっている中、温かい人たちが働く旅館を盛り上げたい、恩返しをしたいという気持ちに駆られ、出産後は最短で復帰をした。

初めての出産と育児。
新しい住まいに、新しい仕事。

ギリギリで生きていて、落ち込むこともたくさんある。
特に子育てが一番不安で、父親がいないという状況を、寂しがらせてしまうかもしれないと悩むときもあるが、産んだことを後悔してなどいない。


夜尋がいたから頑張れたし、いま夜尋がいてくれて、この星林亭で働けてとても幸せだ。