俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました





午前中の仕事がひと段落したら、館内の案内となった。

案内役は美夜(みよる)だ。

支配人の役目で、美夜は付き添いだけだったのに、講師役と打ち解けるために、などと音夜(おとや)がうまく言いくるめたからである。
美夜と二人になるための方便だとすぐにわかった。

支配人も本社の役職者の案内など緊張して嫌だったようで、案内しなくて良いと聞くと、あからさまにほっとし、二つ返事で美夜にその役目を譲った。




午前中の仕事を終えて、お昼休憩を取る。
休憩を終えたら音夜の案内が待っている。

今までの事と、夜尋(やひろ)のことを聞かれるのがわかっていた為、胃がキリキリとして食欲はまったくわかない。
厨房の奥の小さな休憩所で、あたたかい素うどんまかないとして作ってもらう。それをさっとすすり、少しだけ部屋で休むことにした。



6畳しかない畳の部屋が、美夜と夜尋の城だった。

部屋は狭いが、家電もなくて大丈夫だし、あるのは必要最低限の衣服と布団だけなので、なんとかなっている。

最近は、夜尋のおむつやおもちゃが溢れてきたことが悩みくらいだ。

それでも一人部屋を使わせてもらえるし、勤務も子供にあわせてもらっている。

こんなにありがたい職場はない。



二階建ての旅館と宿舎は渡り廊下でつながっている。トイレと洗面は共用で、従業員用のシャワールームもあるのだが、お風呂はお客さんと同じ温泉を使えるのでそちらを利用することが多かった。

お給料は日給で高給ではないが、光熱費も食費もかからないし、山奥だから散財もできないため、二人の生活だけならばそれほど困らない。

贅沢さえしなければいい。

夜尋が小学生などになったら、山をおりないといけないかもしれないので、それまでになんとかお金を貯めようと思っていた。