俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました

間違いない。
相手が誰かを確認すると、今度は鶏のような声がでた。


「な、な、な……!」

奇声で音夜も目覚めたのか、もぞっと動く。


「ん……何時……?」

掠れた声が色っぽい。


「――――え?! ……あ、えーと……!」

時間?!

慌てて周囲を見回すと、そこは自分の部屋ではなかった。

キングサイズを二つ並べた巨大なベッド。
シルクの寝具。やけに部屋が明るいと感じたのは、その部屋に、眺望の良い大きな窓があったからだ。

天井から足元までを覆うガラスの向こうには、大都会であることを主張するような、高層ビルの頭の部分がいくつかと、青い空が見える。


室内の天井は織りあげられ、中央にシャンデリアが光る。
無駄に広い部屋。調度品は一目見て高級だとわかるし、部屋の隅には小さなバーカウンター。

一気に入ってきた情報に、ここが高級ホテルの高級な部屋であろうということが推測できた。

ベッドサイドで控え目に光るデジタル時計を見つけると、「……く、九時……」ととりあえず呟いた。


「九時? なんだ……まだゆっくりできるじゃん。もう少しだけ寝よう……明け方までしてたし、美夜も体辛いだろ」


音夜は眠くて仕方がないと表情で訴えた。
シーツの中から伸びてきた腕が、背中に回り引き寄せられる。

寝ぼけているくせに力が強い。
そこでやっと、自分も音夜もなにも身に着けていないことに気が付いた。

肌と肌が直接触れ合い、寝心地の良さはこれだったかなどと納得する。
目の前に、色気満載の鎖骨が迫る。
慌てて目を逸らしたら、こくりと動いた喉ぼとけに引き締まった顎のラインが飛び込んできて、よけいにパニックになった。