俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました



日が昇ったというのに随分と長い時間、微睡んでいた。
頭がはっきりとしない。

カーテンを閉めていないのか、部屋のなかは煌々と日が差し込んでいて眩しい。
早く起きなくてはとは思うのに、体中が怠くてなかなか起きれなかった。
いつもよりベッドが気持ちよく感じて、ついついといったところだ。

それにしても、家のベッドはこんなにも寝心地がよかっただろうか。ふかふかで、シーツの肌触りが良くて、妙にぬくい。


いくら会社をクビになり今日から無職となろうとも、だらしない生活はよくない。
美夜は靄がかかったような頭をなんとか働かせた。

今日からすぐにでもハローワークに通って、次の仕事を探さなければ。

そういえば、諭旨解雇でも雇用保険でるんだっけ……?

履歴書。中途採用エントリー。
同じ業界では、変に名前が知られてしまって難しいかも。経験を活かせないのはつらい。
ああ、何か他の職種でアピールできる資格は持っていただろうか。

そんなことを考えながら、重い瞼を無理やりこじあけると、鼻の先によく見知った顔があった。


「―――――――あれ……?」


あまりにも驚きすぎて、間抜けな声がしかでなかったが、心の中では絶叫だ。

数秒フリーズし、目の前の光景が現実なのだと理解すると、きゅるきゅると超特急で記憶を遡る。


昨夜は何があった?
誰と飲んでいた?

びくっと体を揺らすと、目の前の男は悩ましげに呻いてから、迷惑そうに顔を歪めた。
そしてぴくぴくと眉を動かしてから、ゆっくりと目をあける。

すっと通る鼻梁、長いまつ毛。切れ長の瞳に薄い唇。

寝顔までなんて綺麗なんだ……。


――――――志波音夜(しばおとや)だ。