俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました

二年目の社会人をこなしていく。

忌々しい音夜のおかげで無駄に気合が入っていたこともあって、美夜は二年目も年間売り上げ1位を達成。
ようやく自分の仕事に、少しの余裕と自信がもてるようになってきた。


――――――事件が起こったのは三年目。


調子にのっていたかと聞かれると、そうだったのかもしれない。

大きなミスもなく順調だったし、営業課長が目にかけてくれていて、たくさんのサポートをしてくれた。
社内の人たちと仲良くはなれていなかったが、仕事は至極真面目にこなしていたし、信頼はあったと思っていた。


三年目の春に、一年前から着手していた、駅前の再開発事業が本格的にスタートした。
すべての契約が完了し、工事が動き始めるのである。

美夜が、おおあたり不動産のルートからとった契約もその一つだ。大きな案件がようやく動き出す。
しかし、これから、というときに契約解除の通知がきた。


「―――――っな、なんでですか!?」


寝耳に水だ。

部長席の前で大声を出した為、社内中から注目を浴びてしまう。
でも、そんなことはどうでも良かった。


「どうもこうも、先方は違約金を払ってでも解除したいとの意向だ」

「わ、わたし訪問してきます……!!」


即座に事務所を飛び出そうとしたが止められた。


「待ちなさい! 仲介に入ったおおあたり不動産も、説得にはいってくれたけれど、売主は手嶋さんには会いたくないそうだよ!」

「なんで……」


失敗はないはずだ。円満に契約をした。関係は良好だった。
不義理をしてしまっただろうか。契約から1年、定期的にあいさつはしていたが、最近どうにも時間がとれなくて会いにいけなかった。


(それで怒らせた……?)


そんなことで契約解除にまでなるだろうか。
違う理由かも。

予定していた決済実行日は、目前に迫っている。
何億というお金が動く。
入るはずの手数料が入らなくなるのは、会社としてかなりの痛手だ。

焦って顔を上げると、部長に訴えた。