ダメな私は失声症の君と同居する

「で,どうしたの?」
私は至って平静を装った。
「ははっ。私ね……。」
そう話し出そうとしたとき,私は祥に口を塞がれた。
「辛いなら,話さなくてもいい。」
ゆっくりと,祥は手話で伝えてくれる。
この世には……こんな優しい人もいたんだ。
「っは……そっかぁ。じゃあさっき通り,親に捨てられたってことだけ言っておく。」
それでいいよ,と祥はうなずいた。、