愛なんて知らない

「これ以上濡れると美琴が風邪を引いてしまう」
「雨なんか何よ」そう言って笑った美琴の腕は、俺の腰に回されたままだった。俺の目をジッと見つめてささやく。「ねえ。あと少しで離れ離れになっちゃうけど、いつかわたしを迎えに来て」
「うん」俺は馬鹿みたいに何度も頷いた。周りの世界が消失して、俺の世界には美琴しかいなくなった。