愛なんて知らない

「ねえ。わたしを誘拐してくれないかな」
「俺が?」
「そう。どこか遠くへ。誰も知ってる人がいないところへ」
「そんなことしたら警察に捕まっちゃうだろ」
「そっか。そうだよね」
「今の、星野のお父さんなの?」
「うん。聞かれちゃったんだ」
「ごめん。盗み聞きするつもりはなかったんだよ」
「わたしが誘拐されると思ったんだね」
「うん」
「誘拐みたいなものかもしれない。無理やり車に乗せようとしたら、いくら父親でも許さないわ」