そう、俺は、坂井さんが見てくれたら、いくらでも頑張れる。
坂井さんが見ててくれるなら、ダサいくらい全力疾走する。
目立つのは嫌いだけど、ごぼうぬきだってする。
歓声だって浴びてやる。
ほんとは順位なんてどうでもいいけど、名前なんて貼りださなくてもいいって思ってるけど、坂井さんが見つけてくれるから、俺は掲示板に名前を連ねる。
中途半端な場所じゃなくて、坂井さんがすぐに見つけられる、上位の方に。

坂井さんが見ててくれるなら。
坂井さんの、自慢の彼氏でいられるなら。

__「勝見君は、私の自慢の彼氏だよ」

その声が、聞きたい。

「まあ、あの日、坂井さん来てなかったみたいだけどな」
「……そっか」
「無駄に目立っただけだったな」
「そうだな。あーあ、だっさ……」

乾いた冷たそうな地面の上で、俺は重たげな声と一緒にしゃがみ込んだ。
小さな砂利がぽつぽつとこぼれている。
毎日通った部室までの道に、こんなにたくさんの石ころや小さな砂利が落ちていたのかと、その一つ一つを俺は初めてじっくりと見た。

この砂利たちはいつからここにいるんだろう。
いつから俺たちを見ていたんだろう。
今日も、見ていたのだろうか。
二人のことも、隠れていた俺のことも。
そして、今も。

何か言いたいことでもあるだろうか。
毎日踏みつけられて、転がされて、時にはわざと蹴られて、不本意に運ばれて、文句の一つでも言いたいところだろうか。