あの日交わした、君との約束。
叶う保証なんてどこにもない、けれど、幼かった私達にとって、精一杯の繋がり。

"いつかきっと、あいにいく。"


「…え?」
状況が呑み込めず、そんな声しか出ない私に、苛立った声が降りかかる。
「だから、2000万!!お前の両親の借金!!」
そう怒鳴るのは、目の前にいる黒スーツに身を包んだ、いかにもな強面の男。周りには同じような男が数人、私を取り囲むようにして立っている。

…とりあえず、頭の中を整理しよう。

私は雨宮凪。大学1年生だ。
私の家はいわゆる放置型というやつで、必要なものは用意されるが、それ以上のものはない。親から愛情を注いでもらった記憶さえも曖昧なほどだ。それでも大学まで行かせてもらっていることに感謝はしているし、自分のことは自分でできるから、特に不満を抱いたこともなかった。