あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう



…………長い。


思ったよりもずっと長くて小難しい返しに、なんかもうガックリというか。

全身の力が抜けちゃって、テーブルに突っ伏しちゃう私。


学術的って、なによそれ。

もうやだ、この人……


「紗良ちゃん?」
「……雄太さんさ、女心がわからないとか、デリカシーないとか言われません?」
「うーん……」

顎に手をやって、考える人っぽいポーズ。

「そもそも、女性と関わることが少ないから、そんなこと言われた記憶はないけど……」

ううむ、と天井を仰いで考えてた雄太さんが、さまよわせた視線を止めて、ポンと手を打つ。

「早川先生は、あの奥さんだから結婚できたんだねって、言われたことはあったよ」


それよ、それ!

……って、なにそのナチュラルなノロケ。

なに?その照れ笑い。

いやもう、モヤッと通りこしてムカつくわ。


「はぁ……もういいです……訊いて、損した」
「えっと…………なんか……ごめんね?」