あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう


あんぐりと、口が開いちゃったのも仕方ないでしょ?

それさ、今、訊く?


「……それ、言ったら何か変わります?」
「いや、変わらないけど」
「だったら、興味本位で訊くのはやめてください」
「……ごめん」

ムカムカしながらスイカを食べてたら、あっという間になくなってしまった。

スプーンを置いて、私はちょっと責める顔で雄太さんを見据える。

「それ訊いて、どうするんですか?今後に役立てるとか?」
「いや、それはない」

即座に今日イチの力強さで否定して、雄太さんはテーブルに肘をついた右手で顎を支えた。

「なんというか……僕は所謂、モテるタイプの人間ではないと思うんだよね。特に、紗良ちゃんみたいな若い女の子から見れば、おじさんだし……異性としての魅力ってほとんどないと思ってたから、どうしてかなって。学術的興味というか……まあ、興味本位と言われちゃえば否定できないんだけど、こういった意見を聞ける状況って貴重だからさ」