あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう


「もっと似てるとこあるかもしれないし、試しに付き合ってみます?」
「いや、そういうんじゃなくてさ」

ニヤッと、ちょっと強がって笑って見せたりしながら、ふざけた感じで言ったら、カブり気味で否定された。


いや、もうちょっと迷うとかしてみてもいいんじゃないかな……

カブり気味とか、さすがに即答すぎて傷つくわ……


「……わかってますよ、言ってみただけ」
「紗良ちゃんさあ……」

言いかけて、雄太さんがしまったって感じで口を手のひらで覆う。

「なんですか?」
「……いや、なんでもない」
「そこで止められると気になるんで、言ってください」
「いや……」
「……言ってよ」
「…………はい」

ちょっと強めに言う私に気まずそうな顔をしてから、雄太さんは頬の辺りを人差し指でポリポリと搔いた。

「その……紗良ちゃんはさ、僕なんかのどこを……いいと思ってくれたのかなって」