「女の人……?」
私の言葉をそのまま繰り返して、雄太さんは心底不思議そうに首をかしげた。
「来てないけど……どうして?」
どうしてって……聞き返されて、顔に血が上ったけれど、ここを確認しなくては、先に進めない。
「だって、この服……」
女物でしょ?
言葉にはできなかったけれど、言いたい事は、きっと伝わったと思う。
「ああ……それは…………」
意を決して踏み込んだ私の質問に、雄太さんが言い淀み、不自然な間が開く。
聞きたいけれど、聞きたくない答えが出てくるかもしれない。
ドキドキして待つ手のひらに汗が滲んで、私はつかんでいたスカートを離す。
この服の感じからして、お母さんの、ではない。
そもそも、お線香をあげに来ただけの人間が、ここに着替えを置いていくはずがないし。
チラ、と目を上げてうかがうと、雄太さんはちょっと困ったような、切なげな瞳を私に向けていた。
「それはね…………加奈子さんの、なんだ」



