うつむいた私を見て、マズいことを言ったとでも思ったのか、少し早口で雄太さんは言う。
「あ、沙良ちゃんは気にしなくていいんだよ。今が楽しい時期なんだし、学校とか……忙しいだろうしね。こうしてまた来てくれただけで充分。加奈子さんだって、怒りはしないさ」
忘れていた、と、責める色などない笑顔に、返って、罪悪感が沸いた。
私は今日、叔母にお線香をあげるために来たんじゃない。
あなたに会いたくて……ここに来たのに。
少しだけ、どこか許されたように感じていた気持ちが、針を刺された風船のように急激にしぼんでいく。
私の気持ちも、これからしようとしていることも、ここに座っていることさえ、悪いことのように思えて。
いたたまれない気持ちで視線を落とすと、空気を和ませようと思ったのか、雄太さんは殊更、明るい調子で言った。
「そんなわけで、今年になってから、ここに来たお客さんは、沙良ちゃんで2人目!」



