あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう


緊張とか、人見知りとか、普段は全然しない方なのに。

雄太さんの前だと、私はいつもこうなってしまう。

あの時……自分の気持ちに気づいた時から、ずっとこう。

「そっか」

チラッと見上げると、雄太さんは私をまっすぐに見つめて優しく笑っていた。

「ずいぶん、会ってなかったもんね。僕も元気かなって思っていたよ。沙良ちゃんもいろいろ忙しい年頃だろうからって思ってたけど…来てくれて嬉しいよ、本当に」

雄太さんの言葉に、ふわっと気持ちが軽くなる。

自然と顔が上向いて、私はこちらを見る雄太さんと顔を見合わせていた。

「いきなり来ちゃって、迷惑じゃなかったですか?」
「かわいい姪っ子が来てくれたのに、迷惑なわけないよ」


姪っ子……


その単語に、ツキン、と小さな痛みを感じたけれど、最初と最後の部分は嬉しかった。