壁に取り付けられた低めの手すりにもたれかかり、栞の挟まった小説を手にしている。 「おはようございますっ」 そう声をかけながら、伏し目がちな彼の視線に潜り込むと、その瞳がゆっくりとこちらを向いた。 「おはよう、行こっか」 目が合った瞬間、冬弥くんが、ふっと笑う。 __トクッ あれ……なんだろう、今の。