天ノ川の下で






「えっ?今なんて……」


一瞬彼の言ったことが理解出来なかった。いや正しくは理解が追いつかなかったんだ。

それはあまりにも衝撃的で悲しい話だったからだ。


「もう一度言う。俺には病気がある。それを治すために遠くの病院へ行くからここをしばらく離れる。」


「しばらくって…どれくらい?」


彼は戸惑ったように答える。


「分からない。ここに生きて戻ってこれるかも分からないんだ。」


その言葉を聞いた瞬間…涙が溢れた。
彼は優しく私の頭に手を置きただひたすらに「ごめん。」と言うだけだった。










あれから砂浜には行っていない。
彼はきっと私を待っているだろう。
でも……あんなことを聞いたらもう………


流していたテレビから今日は天ノ川がよく見えるというのが聞こえた。


「そっか…今日は7月7日…七夕だ……」


今年は天ノ川見なくていいかな…
そんなことを思っているとスマホが鳴った。

『今日の夜7時にいつものところで待ってる!絶対来いよ!』


見るだけ見てスマホを閉じた。