それから私たちは毎日砂浜で話すようになった。
今日学校でこんなことがあったとかお互いの家族の話とか色々と話していた。
「今日は暑いね。まだ夏に入ったばかりなのに。」
「あぁ。暑いな。でもさ…」
彼は言いながら立った。そして海の方へ勢いよく走って跳んだ。
「眩しっ!」
彼を目で追ってその瞬間彼の姿が綺麗に太陽と重なった。
「でも海はすごく気持ちいいぜ!月乃も来いよ!」
彼は海に勢いよく飛び込んだ。
誘われたが首を横に振って行かなかった。
「なんで来ないの?」
「だって濡れるし…制服濡らしたくない。」
たしかに制服を濡らしたくないのは本当だが私は泳げないというのもあった。
彼は少し残念そうな顔をして言う。
「じゃあ夏休みになったら一緒に海で遊ぼーぜ。」
そんな顔で言われると断るわけにもいかなくなってしまう。
「分かった。」
毎日彼と話をする度に私は少しずつ彼に好意を向けるようになっていた。
とても優しくて純粋で、名前と同じで笑った顔がまるで太陽みたいだった。
ある日、彼は突然立ち上がって言った。
「もうすぐ七夕だな。」
その顔は何となく寂しそうに見えた。
「知ってるか?ここから見る天ノ川に願いを言うと叶うらしい。」
「そうなんだ。それは知らなかったよ。太陽はなにか『お願い』するの?」
「もちろん、するよ。俺が今1番望んでいること。」
彼が1番望むもの……
私には何か分からなかった。
けど…あの寂しそうな顔は一体どういう意味なんだろう…



