「陽菜」

名前を呼ぶと、上目遣いに俺を見上げる彼女に口づける。

つわりで体調が万全でない陽菜を慮りながら、重ねるだけのキスで何度も唇を啄む。

「愛してる」

もう二度と悲しい思いはさせたくない。

この先の未来は、陽菜と生まれてくる子供を全力で愛して守り抜くと心に誓う。

点滴が落ちきる頃を見計らって看護師がやってくるまで、愛と感謝のキスを贈り続けた。