忙しくて目が回る日々だったが、帰宅すれば陽菜が俺のために栄養を考えた食事を作って待っていて、ベッドで求めれば恥ずかしそうに頬を染めながら応じてくれる。

ようやく手に入れた陽菜との結婚生活。

新婚ということを加味しても、かなりの頻度で誘いをかけている自覚はあるが、彼女も口では文句を言いながら応えてくれるので、抑止が聞かず抱き潰してしまう日もあった。

次の日には恨みがましい目で睨まれるが、その目元にキスを落とすと、すぐに真っ赤になる陽菜が愛しくてたまらない。

俺のそばに陽菜がいてくれる。

それだけで、どれだけ仕事が大変だろうと辛く感じることはなかった。


今回のプロジェクトチームは若手中心とはいえ自分より先輩が多い中、ひとりだけ同期の女性社員がいる。

池田はデジタルマーケティング部から推薦を受けて引っ張ってきた人物で、東大出身で優秀だがプライドも高い。

私立小学校受験に特化した教室にしようと推す力を無下に出来ないのも、彼女が膨大なデータを分析して出してくれた資料の仕上がりゆえだった。

それでもこの新事業は俺の幼い頃からの夢で、やみくもに知識を詰め込んだり受験に特化した教室ではなく、将来的に勉強が苦にならないよう、好奇心を刺激しながら“学習は楽しいこと”だと思える教育を目指したい。