頑なに拒絶していたひと月前とは明らかに違う気持ちで彼のことを考える。

怜士は学生時代の頃のことを弁解することなく、私に気持ちを伝えてくれた。

そんな彼に応えるためには、過去のことは精算し、今の怜士に向き合うべきなのではないかと思い始めている。

この政略結婚を愛のないものとして他に恋愛を求めるか、怜士の言う通り、彼と恋をして政略結婚ではなく恋愛結婚にするか。

それは私次第なんだ。

私はドアに貼り付けたねこの絵の書かれた可愛らしいドアロックを剥がし、そっとゴミ箱に捨てた。