「この部屋だ。」
男の子は、あの不気味な屋敷に入ると、とある一つの部屋の前で足を止めた。
「母上様、失礼致します。」
そう言って、男の子はドアを開けた。
「どうしたの、レオン。」
中からは女性と、男の子の声が聞こえる。
「はい、実は見慣れぬ姿の者が迷子になったと来たので、ひとまずお伝えしようかと。」
「…迷子?この森で?人間は入れないはずなのだけど…。わかったわ。連れてきてくれる?」
「はい。君、来てくれる?」
男の子がドアの隙間から手を出して手招きしてくる。それに引き寄せられるように私は部屋に入った。
中には…
この世とは思えないほどの美貌をもつ、一人の女の人がいた。眩しすぎて、直視できないほどの…
「あら、珍しい。外からのお客様なんて。でも、面倒臭い事情があるようね。こっちへいらっしゃい、可愛いお客様?」
「は、はい…」
躊躇ったが、此処でうじうじしてても何も始まらないと思って、私はその人に恐る恐る近づいた。
「それで、どうして迷子になったのか教えてくれる?」
「は、はい…」
私は今まであったことをすべて話した。もちろん
血まみれの女の子のこともね…
本当は話さなくていいかと思った。信じてくれなそうだったから。でも…話していた。なぜだかはわからない。
でも…彼女たちなら信じてくれると思った。
話し終わって俯いていると、
「…そう、そんなことがあったのね。帰り方ならわかるから、教えて差し上げるわ。」
「え、ホントですか!教えて下さい!」
「レオン。あなたに教えるから送っていきなさい。」
「え、でも…」
「…嫌な予感がするの。」
「わかりました。…ほら、行くよ。」
男の子は、そう言って部屋から出ていってしまった。
私は、頭が追い付いていなかったが、取り敢えず
「あ、ありがとうございました」
と、お礼を言って男の子の後を追っていった。
